カーシェアリングのメリット・デメリット
カーシェアリングのメリットについて
まず、カーシェアリングのメリットについて考えてみます。カーシェアリングのメリットとしては、次の5つの分野に関連するものがあげられます。
- 経済に関するメリット
- 環境に関するメリット
- 交通に関するメリット
- 健康に関するメリット
- 化石燃料に関するメリット
- 経済に関するメリット
まず第1が、経済に関するメリットです。カーシェアリングを利用すれば、まず駐車場料金がかかりません。車検費用や自動車税などの税金もかかりません。こういった、自動車にかかる固定費を大きく削減できます。例えば、1ヶ月の車の使用時間が24時間程度の方であれば、自分で車を保有するよりも、カーシェアリングを利用すれば、車にかかる経費が約1/4程度になるといわれています。
- 環境に関するメリット
第2が環境に関するメリットです。カーシェアリングを利用すれば、社会全体での車両の利用が減少します。そうすれば、自ずと二酸化炭素や汚染物質の排出量が減少します。地球温暖化や大気汚染の健康への影響が問題視される最近の状況の下、二酸化炭素や汚染物質の排出の減少は、おおいに歓迎されます。ドイツ・カーシェアリング連盟が2004年に行った発表では、
65,000人の会員に対し2,300台の共有車の利用で、14,000台のマイカーを削減し、1億7,000万キロの走行距離を削減し、3万tの二酸化炭素の排出量を削減した
とされています。
- 交通に関するメリット
第3が、交通に関するメリットです。カーシェアリングによる共有車が導入されれば、マイカーが減ります。マイカーが減るから、交通渋滞や路上駐車が減少します。1台の共有車の導入により減少するマイカーの台数は5,6台です。交通渋滞による損失時間は国民1人当たり30時間と言われています。1人当たりは大した時間でなくても、国全体では相当の損失になります。カーシェアリングの導入は、マイカーの台数の減少や、車の効率的利用を促進することで、渋滞による損失の減少に貢献します。
- 健康に関するメリット
第4が、健康です。カーシェアリングを導入しても、その会員の総移動距離は変わりません。変わるのは、車を利用した移動距離が減り、電車やバスといった公共交通機関及び徒歩・自転車を利用した移動距離が増えます。徒歩や自転車はもちろんのこと、電車やバスを利用した移動もよく歩きます。車による移動が主体だと、どうしても運動不足になりがちです。しかし、カーシェアリングを導入すれば、徒歩や自転車に乗る機会が増えて、必然的に運動量が増加します。このことは、会員に健康面でよい影響を与えます。
- 化石燃料に関するメリット
第5が化石燃料に関するメリットです。カーシェアリングを導入すれば、会員の移動手段がより燃料効率のよい公共交通機関か、燃料を全く使用しない徒歩や自転車にシフトします。カーシェアリングを導入すれば各自がマイカーを保有する場合に比して、会員間の車の走行距離の総和が必ず減少します。車の走行距離の総和が減少すれば、必然的にガソリンの消費量も減少します。現在のスピードで使い続ければ、石油は将来確実に枯渇するといわれています。自動車による石油の使用は、石油利用に大きな割合を占めていますから、カーシェアリングでこれを削減できれば、化石燃料の枯渇の問題に大きく貢献します。
「カーシェアリングのメリット」まとめ・カーシェアリングを利用すれば、車にかかる経費が約1/4程度になる
・二酸化炭素の排出量を削減できるため環境に優しい
・渋滞を緩和できる
・歩く機会が増えるため健康的
・化石燃料の枯渇問題に貢献できるカーシェアリングのデメリット
次に、カーシェアリングのデメリットについて考えてみます。カーシェアリングのデメリットは、メリットに比べて少ないのですが、次のような点があげられます。
- 使いたい時に使えない可能性がある
- 車種が選べない
- 自動車産業に悪影響がある
- 確実に利用できる保証がない
まず、カーシェアリングは複数人で自動車を共有するため、使いたい時に使えるという絶対的保証がありません。マイカーであればそんなことはありませんが、カーシェアリングの場合には、どうしてもいざというとき使えないのではないかという不安を抱えることになります。
- 車種が選べない
また、シェアリングカーの車種も最近は多くなってきましたが、ワンボックスカーやトラックなど大型の車種はなかなか用意ができていないのが現状です。ですから、このような大型車の乗車を考えておられる方は、利用しにくいかもしれません。
- 自動車産業に対する悪影響
最後に、自動車産業に対する悪影響があります。自動車産業は日本経済の牽引車ですが、カーシェアリングが進展し、新車への需要が減ると、自動車の販売量が減少し、自動車産業に悪影響が出る可能性があります。また、カーシェアリングが普及していけば、若者が車に憧れるという傾向も衰えていくでしょう。そうすれば、これも新車の販売台数にマイナスの影響を与えます。これも車産業にとってはよくない事態ではあります。
いずれにしても、カーシェアリングの普及は自動車産業にとって決して望ましい事態ということはできません。自動車産業は日本経済の要ですから、経済成長の観点からは、多少の影響はあるのかもしれません。
・利用したときに利用できる保証が無い
・ワンボックスカーやトラックなどの大型車はなかなか用意されていない
・自動車産業に打撃を与えるかも